ふぉっほう!

とっても濃ゆい一週間だった。

今日はバタリ。ごはんを作る以外絶対に何もしないんだー!

 

まず昨日。ここ最近私がぎゃーすか騒いでおりました、NYから来日ツアー中のドラマー・田井中福司さんとの共演。楽しかった!!!

こんな機会をいただけて本当に感謝の気持ちでいっぱいです。太光くんも、小牧さんも、熱演でした。

会場も満員御礼、なんと四国からお見えの方もいらっしゃって、お越し下さったみなさま、そして珈琲美学のママ&お店の方々、快くドラムセットを貸してくれたおっくん、どうもありがとうございました!m(_ _)m

 

ふくさんと同じステージに立った今夜だけで、とっても多くのことを、まだ今の私には意識できていない部分も含めて、本当に多くのことを学んだと思った。力が抜けていてかつ強烈にスイングして音楽が進んでいく、ただそこに息を乗せてメロディを歌うという感覚、これを味わえただけでも、私は音楽的にものすごい体験をしたなあと思う。本当にありがたい。

前に誰だったかオペラ歌手が、素晴らしい指揮者の元で歌うとき、まるでふわふわのベッドにただ横たわっているみたい、というようなことを言っていた。私はジャズシンガーとしてペーペー中のペーペーだけど、それでもそんな私なりに、少しわかる感覚だと思った。昨日私は、目の前に降りてきた魔法のカーペットにふわりと乗って、自分ひとりだけでは行けないずっと先の方へ、すいすいと連れて行ってもらったと感じた瞬間が、何度もあった。

 ジャズ、やっぱり楽しいな。(すーーっごく難しいけど!)

ふくさん、いい音色でスイングすること、とNYにいるときからずっと強調していて、それがどれだけ聴いている人の心を楽しくさせるかということを、昨日は改めて目の当たりにした。NYでもお客さんめっちゃくっちゃ沸いてたもんなー。いつだったか Smalls で、最先端のジャズってやつを聞かせてもらおうじゃないかって顔して来ていたお客さん達、ふくさんのバンドの演奏始まって、なんだか期待していたものと違うわ・・というような戸惑いが最初ちらほら見えたと思ったら、あっという間に、もう完全に大盛り上がりになってた。昨日集まってくださったたくさんの方々も、皆さんどんな演奏を期待していらっしゃったのかはわからないけど、ふくさんのドラムにぐいぐい惹きつけられいっているのが、比喩表現ではなくて、本当に、目に見えた。

 

昨日はそれぞれセットの最初に2曲インストをお願いし、客席の後ろでそれを聴いている間、私もすっかりお客さん気分でものすごく楽しくなり、その一方、歌い出せば、自分のレベルがまだまだなことにもよくよく気付かされた。ほんっとに、ビリー、エラ、サラ、カーメン、ダイナ、、、とても書ききれないけど、ああいう人たちがもうどんだけすっごかったのか、痛感する。テクニックも表現力も曲の理解もタイムも musichanship も、何もかも。それら全部、歌手が持っている「当然の」道具として持っていて、その上での歌心、オリジナリティ。そして遊び心。なんてすごい人たちだったんだろう。ライブで聴いてみたかったなあ、、

ふくさんにも通じる話だけど、実力と自信、経験に裏付けられた演奏を、

"Listen,"

とズバリ、ステージ上から差し出せるっていうのはすごい。

こんな方とご一緒させていただいたからには!私も絶対に!頑張ってやるー!!!ふんがふんがっ!

 

さてさて、ふくさんはもうすぐNYに帰ってまたあちらで活動されますが(どうぞ長旅お気をつけてね!)、日本にいる我々、太光くん&小牧さん&わたくしの三人、6月16日(木)珈琲美学での再演が決定しました (^^)/ この三人での演奏は、半年以上ぶりかな。楽しみです。皆さんもどうぞ楽しみにしていてください!ジャズやるよーん!

 

所変わって。こちらは新宿南口の紀伊国屋6階。

 

今週末は、土曜日にふくさんこと田井中福司さんを迎えてのライブ、その前日には井上智さんと北川潔さんのデュオを聴きに行くという、音楽的にとても濃い二日間だったのですが、木曜日と金曜日、こちらは何的にといえばいいのだろう、、私のアイデンティティ的に?(大袈裟だけど本当)とっても深いところでさざ波の立った二日間でした。

 

写真は、作家のシャマン・ラポガンさんとえりちゃん。奥からカメラに向かって微笑んでいらっしゃるのは詩人の管啓次郎さん、そのまた奥で微笑むのは、おそらく紀伊国屋の方。

東京国際文芸フェスティバルというのを今日までやっていたそうで、金曜日に文芸フェスで彼の本『冷海深情』の翻訳者・魚住悦子先生も交えて鼎談されていた高樹のぶ子さん(素晴らしかった)や、先日亡くなった津島佑子さんの推薦もあって、今回シャマン・ラポガンが招聘されたよう。

 

シャマン・ラポガンさん、日本ではあまり名前が知られていないかもしれませんが、台湾を代表する作家であり、蘭嶼(ランユイ)という離島に住む原住民族・タオ族の作家です。

台湾原住民族、私のライブでも原住民の歌をみなさん一緒に歌ってもらってますが、(ホーハーイアーン、ハーウアーイアーってやつ、アミ族の歌あるよ)タオ族は台湾で今公式認定されている16の原住民族の中で最も規模が小さく、そして唯一の海洋民族。というわけで、彼の作品も海洋文学。海と様々な魚たちと人間で成り立っている、私の全く知らない豊かな世界の様々なやりとりが、すぐそこに海があって、海を美しいと思っていても、その中のことをまるで知らない私たちにもわかる言葉で描かれています。

 

蘭嶼島の生活では、伝統的にトビウオがその中心となっていて、海流にのってフィリピンの方からトビウオがやってくる季節、タオの人々のトビウオ漁の季節(これも漁の方法などにより細かく分かれている)などなどトビウオに合わせて暦も作られているとのこと。シャマン・ラポガンさん自身も、毎日のように海に潜り、魚を捕る生活をしていて、「私はこの手でトビウオを捕り、この手で鉛筆を握り小説を書いている」と語ったその真実味が深く印象に残った。

お会いするのは初めてだったのですが、異国の地で原住民に会うと、同じタイヤル族でなくとも、まるで生き別れの家族にやっと出会えたような気持ちにいつもなってしまい。。。思わずこの笑顔。

(ちなみに、異国の地で出会うジャズミュージシャンにも、多かれ少なかれ、遠い親戚に出会ったような気持ちになります。図々しい?)

大学院生やっていた頃にお世話になった下村作次郎先生や魚住先生にも数年ぶりにお会いでき、また、たくさんの台湾原住民文学の翻訳を出版されている草風館の内川さんにも大変個人的なお礼を申し上げることができて、胸がいっぱいの夜でした。

 

胸いっぱいなあまり、どさくさに紛れてご一緒してしまった打ち上げで歌い出す、酔っぱらいの私。

語る以上は嘘のない言葉を、歌う以上は丸裸の心を、そこだけは全うしたいな。