ぐつぐつ

夕方の空。

いろんなものが溶けた青。

 

雨と風が激しくなる前に、図書館と買い出しとコーヒー屋さんへ。

台風の前の買い出しは、いつもよりちょっといいものを買ってしまう。子どもの頃に母と市場へ出かけたことを思い出す。あの頃の台湾は今みたいにコンビニやスーパーがなかったし、台風前、市場へ買い出しにくる人々の気合いは、まるで旧正月の準備でもするかのようだった。母の手を握って、お店の電球の光の方へ、ぎゅうぎゅう押し合う人の波を分け入り、評判の店で母がガチョウの卵の塩漬けを1ダース注文し、膨らんだ買い物袋を手にして振り返って「帰るよ」と私に言うのを聞くと、これから何かとてもいいことを迎えるような気分になった。家に着き、私はもう旗袍を着たいような気分で電子琴を弾いた。

 

今夜、来客の予定もないが、この間大事な友人が来たときに張り切って作ったとっておきのカレーを鍋いっぱい煮込んでいる。

いい知らせ、大変な知らせ。雨の音、風の音。カレーのぐつぐつ煮える音。

 

今日もカッパを着て自転車で走った。

カッパを着るようになってから、雨に濡れることに対する気持ちがちょっとずつ変わっている。カッパの人や傘をささずに歩く人が思いのほかいて、ちょっと仲間意識。

 

明日は晴れて暑くなるんだとか。