鏡餅

おめでとうございます、と思わずお辞儀をしてしまう立派な鏡餅。この昆布。

昨日、とある新年会で演奏した平塚のサンライフガーデンというホテルにいらっしゃった。子どもの頃からホテルという場所が好き。いろんな人が交差して休むからだろうか。袖すり合う一期一会というのが好きなのかもしれない。水色っぽいロビーはホテルのロビーにしては珍しい色合いで、ふっと脇の方に小さな噴水があり、エレベーターはもう今ではどこも作らなさそうな、細工の施された木と鏡、やはり水色の空のような天井にちょっと家庭的な感じのするシャンデリアがあって、まるで鳥かごに乗って運ばれるように宴会場に向かいながら、あたたかい気持ちになった。

 

一昨日台北から戻り、最終日街中で起こした貧血と舌の付け根の口内炎で昨日もずいぶん弱っている気持ちだったけど、お昼、リハーサルに来てくれたベチコちゃんと河村さんの姿を見たら、だんだん元気になってきてしまった。こんなことだったら、重量オーバーなんて気にしないで頑張ってお土産をたくさん背負って帰ってくるんだった。おばから「台湾じゃこんなの着ないから」と、カナダ旅行用に買って一度しか着てないというダウンと、同じく一度しか履いていないというブーツをお下がりでもらって、せっかくなので小さなスーツケースにパンパンに詰めて持って帰ることにしたものの、ジェットスターに超過料金5000円ほど払うことになり、なんとかできた隙間にたったひとつ、セブンイレブンで買った營養口糧というビスケットを詰めた。昔からあるビスケットで、少し大きめの乾パンみたいで、徴兵された男の子たちが訓練の間に食べるようなやつなんだけど、たぶん昔からあるという理由で私はあの味とパッケージが好きだ。

「かわいい、かわいい」

とベチコちゃんが言って、かわいい手つきで面白い形に包みを開けてくれて、ファルコンの実家の黒豆や伊達巻やみかんをいただきながら、四角いテーブルを囲んで4人で座り、コーヒーを飲み、ギター、バイオリン、ギター、私は時々三線を手に取り、時々私が歌い、河村さんが歌い、時々私と河村さんはコーラスをする。朝から雨で寒々しかった家の中に、パッと晴れた窓の外からさんさんと日がさしてきて、音楽が流れて、こんな時間をいろんな人と分かち合いたいと思った。どうやったらできるんだろうな。音楽が本当に美しいものだと思えるのは、いつもこういう何気ない日常の時間の中にある時だ。夏の間、友人のサブリナ一家がうちに泊まっていた時。キッチンでサブリナが鼻歌みたいにジョアン・ジルベルトの歌ったワルツを歌い始めて、向こうの部屋でのんびりしてた拓馬が、何とはなしにその歌にクラシックギターで伴奏をし始めて、そうやって両親が音楽を始めてしまって、かまってもらえずぐずり始めるマルコを、サブリナが見かねて抱っこしてあやしながら歌い続けて、そんな時、私はすっかり平和な頭になって、生活と音楽ってなんて美しいんだろうと思う。

 

鏡餅と全然違う話になっちゃった。そろそろ支度して今夜は下北で昨日の幸せなリハの続き。スーパー新年会というタイトルのライブです。今日もよく晴れて、今日がどうかいい日でありますように。

 

あ、大事なご連絡!

昨日平塚サンライフガーデンの新年会で私の弾き語りCDを買ってくださった皆様へ。

付属の小冊子の製作が間に合わず、一部の方にCDのみ先のお渡しとなってしまいました。小冊子郵送いたしますので、どうぞこちらよりメッセージください。ご連絡お待ちしております!