農暦1月1日

今日は農暦1月1日。旧正月。新年快樂,身體健康,鼠年大吉!

 

除夕、つまり大晦日が昨日の夜で、台湾ではその前の日から旧正月のお休み。親戚たちからLINEやfacebookで吉祥話と呼ばれる「鼠」の音にかけたおめでたいフレーズが飛び交って、そういう台湾人の験担ぎ大好きなところが大好き。ああ懐かしいなあ。台湾で最後に旧正月を迎えたのはもう随分前のこと。みんなの家の玄関に、春聯という吉祥話を書いた赤くて細長い紙が入り口を囲むように貼られているのを、うらやましい気持ちで眺めた。台湾に住んでいても家族に漢人のいない私の家には漢人文化もそこまで入っていなくて、うちの玄関は1月末になってもまだクリスマスの飾りがまだついたままで、「キラキラしてめでたそうだからこれでいいよ」ということになっている。せめて「福」の字だけでも買って貼ってみたいなと思って色々見たけど、きっと母に「なんか台湾人くさいね」と言われるのが落ちだし、ひっそり自分用に、ノートパソコンのスクリーンを玄関に見立ててスクリーンの上左右に貼れるようデザインされた春聯シールを買って、それで旧正月ということにしたのだった。

 

漢人の文化にはやはり憧れがある。日本の文化にも、一時期もっと憧れがあった。日本に長く住んで、台湾に帰ることも、自分が台湾から来たこともほとんど忘れかかっていたような頃、特に憧れがあった。周りの友人やその家族みたいに日本人になってみたかったんだと思う。

 

除夕の夜は年夜飯と言ってみんなで集まってご飯を食べる習わしがあり、日本にいるとそんなこと一緒にできる家族もないのですっかりしていないけど、昨日は近所の亀吉にゆみちゃんが薬膳スープをなんとお鍋ごと持って来てくれていた。除夕だからとかではなくて、鵠沼的赤須BARというイベントで提供する飲食として、ちょうどこの間台湾で買った薬膳スープの材料に鶏肉を入れて煮込んだスープや台湾の食材など持って鵠沼まで車で来てくれていて、すっかり私はその恩恵に授かってしまった。ゆみちゃんの薬膳スープがあんまり美味しくて、最近は京島界隈でも評判だそうで、本当に美味しく、みんなでおかわりして二杯ずついただいてて、思いがけず立派な年夜飯となった。ゆみちゃん、翔くん、ありがとう。

 

旧正月なので台北の母に電話していたら、ベランダの手すりに鳥が止まった。一瞬のことで、私を目を合わせると首を傾げてまた向こうへ飛んでいってしまった。雀とかよりちょっと大柄の鳥だったけどなんという名前なんだろう。ムクドリかな。下の植木のところには、抹茶色したかわいいメジロが二匹、母と話している間ずっと何かを突っついていた。

 

今夜は久しぶりにQのみなさんとご一緒できて、みんなで焼肉の会。みんなで集まってご飯食べるのって、大好きなのとちょっと苦手なのと二つの気持ちがいつもあるんだけど(それもあってお酒をたくさん飲んでしまっているような)、演劇という形式の中に身体を置いて、歌をうたったり自分の声を発したということは私の去年の大きな出来事だったし、何ヶ月も一緒に稽古して本番も迎えたみなさんと揃って焼肉できるなんていかにもお正月でうれしい。ひとりが好きなのとみんなが大好きなのと、うまく両方して生きていきたいな。

 

昨日はそういえば、大学の後輩の鈴川くんとなんと日本大通り駅付近でばったり出会ったのだった。横浜地裁の前にテレビカメラや取材陣が集まっていたので、何かな、と思って覗き込んだりしながら歩いていたら、「井坂さん?」と声をかけられた。大学までの友人の間で、私はエリちゃんでなければ井坂さんだ。急に印鑑が必要になって、門前仲町のはんこ屋さんで出来合いの井坂の印鑑を買って横浜に来たところで、さっそく道端で「井坂さん」と呼ばれた。十数年ぶりの鈴川くんは、弟さんと一緒に、港へ向かう美しく整備された道を晴れ晴れと歩いていて、そんな姿を見ることができてうれしかった。地下へ入ってみなとみらい線に乗ろうと思ったら、向こうの方に横浜駅へ行くバス停が見えたので、もう少し横浜を眺めていたくてバスに乗ることにした。長年愛用していたカバンの持ち手が壊れて、横浜駅でトートバッグを買って、荷物を詰め替え家に戻った。

 

調べて見ると、昨日は横浜地裁で津久井やまゆり園の事件の第8回公判があったのだという。