Daffodil

今日もうららか。歌い出しちゃいそうだった。

パリに行ってしまった友人の麗ちゃんのうららという字は、うららかのうららだったんだ。今はじめて気が付いたけど、確かに名前の通り、うららかな日の午後みたいな顔をしたかわいい人。元気かな。

 

友人にいただいた美味しそうなきのこのパテを食べたくて、昨日久しぶりにバゲットを買ったのが、長くて食べ切れないので、今日はバゲットを食べ切るために、じゃがいもとにんにく、ベーコン、牛乳、白ワインでスープ作ろうかな、と思っていたところに宅急便が届いて、白菜、大根、人参、ほうれん草など立派な野菜をたくさんいただき感謝。新鮮なうちに早速いただかなくては、と、スープの中身をじゃがいもから白菜と大根に変更。家で適当に料理していると、こうして目的がちょっとずつズレていく感じが楽しい。宅急便の箱の中には可愛らしい日本水仙の花束も入っていて、お菓子の入ってたジャーを洗って花瓶にしてテーブルに飾った。とってもいい香り。水仙って、ちょっとニラみたいな葉っぱなんだね。小さくてかわいい花。十数年前、水仙のこと英語で Daffodil って言うって知った時、心の中がぱあっとした。この可憐な花々は本当にそんな音を立てていそうで。

 

昨日の Eri Liao Trio @ 吉祥寺 音吉!MEG、お越しくださったみなさま、お店の柳本さん、どうもありがとうございました。お客さん少なかったけど(マンツーマン!)音楽を気楽に味わって楽しんでくれる人たちが聴きに来てくれて、とっても嬉しかった。ファルコンや小牧さんのようなミュージシャンと一緒にいろんなことをライブで試せることはとってもありがたい。昨日は特にそんな気持ちになった。2015年の夏から、もうすぐ5年もこの二人と一緒にこうやって音楽やっていられるなんて、世の中には意外にもやさしいところがあるんだな。MEGにはまた5月末以降に出演することになりそう。皆さんどうぞまたよろしくね。

 

今日は午後の間に横浜で用事を済ませ、港の方へまたちょっと散歩。この間来た時よりずっとあたたかくてしあわせ。

象の鼻テラスのガラス窓の中で、たくさんの人たちが動き回っていたので近寄ってみると、ちょうどダンサーの安藤洋子さんが「ARUKU」というワークショップをやっているところで、終わりの15分だけ覗くことができた。今みたいに歌うようになる前、私はずっと踊ってて、また踊りたいなあと最近ぼんやり思っていたところだった。ダンサーではない人も対象の歩くワークショップで、直視するのが大変なくらい、いろんな人たちが本当にいろんな格好で歩いていて、その中で安藤さんが楽しそうにしているのを見てたら、私も自分の身体と一緒に、私の身体に連れて行ってもらいながら、もうちょっと先まで歩いてみたい気分になって、港沿いのボードウォークをずっと山下公園まで歩いた。夕方4時を過ぎる頃、たくさんの人たちが私のようにお散歩したり、ベンチに腰かけたり、写真を撮ったり、人々が話すのを聞いていると、日本語、中国語、韓国語、何語かわからないけどどこか東南アジアの方らしき言葉、よく似て少し違うアジア人たち、もっと目鼻立ちのはっきりして浅黒い肌の人たち、水の上には黒いカモが浮かんだり、その上を白いカモメが飛んだり(カモにメつけたらカモメになるのね)、木々にはスズメや鳩もいて、こういう風にいろんな動物たちが水辺に集まっている場所にいるのがとっても好き。人間も、こうやって水辺に集まる動物の仲間なんだなあと思ってほっとする。

 

夕方4時を回るころ、太陽が沈んでいく港の西の方には横浜の街が広がっているので、鵠沼の海から見えるような圧倒的な夕日は建物が立ち並ぶ向こうにあり、ビルの隙間からもほとんど見えない。でも海の水は私の見えない空も全て映すから、東側の穏やかな水色の空と、西側の太陽が強く輝き出す空と、両方の空の色が水面にずっと広がって、波が静かに寄せて揺れるたび、青と黄色の太い筋がキラキラとずっと向こうの水平線の方まで揺れて、そのきらめきの中にカモたちは浮かんで揺れて、私の足元ではちゃぷん、ちゃぷん、と波の当たる音がする。下を覗くと、ただのコンクリートというより、まるで海の底にある古い建物の上の舞台のような形をしていて、後からこの公園は関東大震災の瓦礫を埋め立てて作られたのだと知った。この間もそう思ったけど、横浜の港の水は意外にも澄んでいて、よーく覗いていると水中に潜ったカモがすーっと泳いでいくのが見えて、水面に上がってくると、カモはぷるぷるっと濡れた頭を体をふるわせる。カモの潜っているあたりの水面に細かい泡がぷつぷつ弾けて消える。その水面も、もっと向こうの水面も、青と黄色の光沢のきらめく細いひだの並ぶ紗がいくつも重なるように、波のたびに動いて揺れて輝き、こんなドレスがあったらきっと素敵だな、とか普段考えもしないようなことを考えた。あんまりにも美しくて、こんな色があることを忘れたくないと思って、少し暗くなるまでしばらく眺めた。あそこに浮かぶカモになって、すーっと潜って水面から顔を出したらどんなだろう。

 

贅沢な気持ちになったので、もうちょっと贅沢をして、横浜駅東口まで船で帰る700円の切符を買った。元町・中華街駅まで中華街の中を歩いて、媽祖でお参りしてから帰りたいとも思ったけど、それにはもう時間が遅かったし。今度このあたりに来る時は氷川丸の中にも入ってみたい。家に着くまで、三日月が高く輝くのをずっと見た。